新電力への切替検討 2025年10月

「原発が再稼働すれば元の夜間単価に戻るのでは?」

と淡い期待を抱いていましたが、

 ・既に再稼働は織り込み済みでの値上げ、むしろ遅れているので更なる値上げも
 ・安全・テロ対策など原発の運用コストが増大
 ・デカップリングで化燃コストが増大
 ・円の国際的価値が低下(円安
 ・メガソーラなど再エネ普及で夜間電力の方がコスト増

などで、厳しそうです。

そこで今回は、
我が家の場合の新電力への切替について検討してみることとしました。

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1.新電力の概況

図1は2016年4月の電力自由化以降の、
新電力の年度ごと家庭向け電力取引量シェアの推移です。

図1 電力自由化以降の新電力シェア推移(家庭用・低圧、取引量ベース、全国平均)

地域によっては3割を超えているとのこと。
いつの間にか増えましたよね。

ただ、2022年度以降伸びは鈍化しています。
これは、国際紛争と円安に伴う化燃コストの増大で、
新電力も軒並み値上げとなり、ユーザーが移行を控えたためでした。

新電力は火力や原子力などの大規模発電設備や送電インフラなどを自前で持たないため、
大元の大手電力が値上げすれば、そのまま連動して値上げせざるを得ません。

現在、全国で700社以上の新電力会社があり
そんな外乱に煽られて、財務基盤の弱いところからの撤退も相次いでいます。

図2は近年の四半期ごとの新電力の撤退率推移です。

図2 近年の新電力の撤退率の推移(新規契約停止は含まず)

やはり2022年の国際紛争を機に、撤退率も上昇していますね。

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2.ユーザー視点での新電力

良さそうだし、変えてみようかな? 視点

新電力は、
 ・大手と異なり全国区(一部はグローバル)で活動出来るので、
  原発停止などの事情で単価が上がり気味の地域では新電力の競争力が高い
 ・大手からの電力も買ってはいるものの、人、設備、テロ対策など固定費の負担が少ない
 ・徹底的なスリム化で、サービスやコストで大手と差別化
により、元は同じ電源でも大手よりも安価なサービスを提供しているとの印象です。

しかも、上述の700社のうち、
全体の5割が従業員10人未満の超スリムな事業者です。

最大手の業者でも100名前後とのことで、
数千から数万人が当たり前の大手電力とは間接経費負担が全く異なり、
この差で大手よりも安価な価格設定が可能なのかと。

でも、不安もあるし 視点

しかし、一方で不安もあります。
 ・財務基盤が弱いので、ちょっとの外乱で破綻してしまうのでは?
  👆の図2での2022年からの撤退率上昇が、まさにこれ!
 ・価格の改定が法律に縛られていないので、景気次第では価格が激変するのでは?
 ・一度新電力に切り替えてしまうと、もう大手のオール電化プランには戻れない
  (FIT時のメリットが忘れられない・・・・w)
 ・「調整単価」と称して不透明な価格操作を行っているのでは?
  (過去にさかのぼって、情報開示がしっかりなされているか? 算出方法が公開されているか?)
 ・違約金縛りがあるのでは?
  などなど、明確な根拠がなくても漠然とした不安があります。
  (プロパンガス業者選びに似ているw)

ここで、
不安2点目の「価格が激変してしまうのでは?」についてですが、
大手が提供している(いた)オール電化プランも上限のない所謂「自由料金プラン」ですので、
オール電化プランのままで新電力への切り替え先を探す場合は、
同じ土俵となります。

図3に、大手電力と新電力(こちらも新電力の中では大手)での、
この数年間の燃料調整単価の推移を相対的に比較してみました。

図3 燃料費調整単価推移の比較
  (家庭向けオール電化プラン、大手には政府の激変緩和分を加算、2025年1月を一致させた相対比較)

あくまで一例ですが、
しっかりした業者を選べれば、大手電力と同様の変動で済みそうです。

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3.比較する業者を選定

以上から新電力の業者を選ぶ際の条件を以下の通り決めました。
 ・財務基盤が盤石なこと
 ・燃料費調整単価を過去にわたって公開している
 ・燃料費調整単価の算出方法を公開している
 ・ユーザー数が多く、複数サイトの口コミも参考に出来る
 ・オール電化プランがあること
 ・売電もセット契約出来て、単価が高いこと
 ・深夜料金の時間帯が長いこと(ここが短いと冬は死活問題に)

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4.比較シミュレーションを実施

HEMSに残っている過去1年間の買電データを使って、
大手電力を3.で選定した新電力での電力料金の比較を行ってみます。

基本料金、従量料金、燃料費調整の合計で比較しました。
売電収入による相殺は行っていません。
太陽光は典型的な「ふたこぶラクダ」の日射量が得られた年を選択しています。

新電力の従量料金の単価が、現契約と比較して3割から5割も安価なので、
さぞかし安くなるのだろうと期待していましたが・・・・・・

図4に比較結果を示します。

図4 電気料金比較結果(オール電化プラン、基本料+従量料金+燃料費調整)

年間で1万5000円、新電力の方が安価となりましたv

口コミでも「差はこの程度」との書き込みが多く、
リーズナブルな数字だと思います。

現契約と比較して1年で7%の削減ですね。
あれ? 従量単価の差の割には・・・・・(後述します)

月平均で1200円のメリット、多い月(5月)は2300円に達しています。
やはり太陽光がしっかり多い月が有利となっています。

売電単価も高いのでこの差はもう少し拡がりますが、
我が家は蓄電池導入で、昨今は殆ど売電しませんので、
大きな影響は無いかと。

しかし、デメリットも見えてきました。

新電力のオール電化プランの夜間料金は明け方が我が家の現契約よりも1時間短いものが殆どで、
今回の比較でも真冬にどうなるかを懸念していましたが、
案の定、1月や12月は新電力のメリットがほぼ無し、または新電力の方が高額になりました。

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5.料金の内訳が大きく異なる

さて、従量単価が3~5割も安価なのに、
1年の電気料金は7%しか削減されませんでした。

図5に両プランの料金内訳を示します。

図5 大手電力と新電力での料金内訳の比較(1年分の合計)

図5から、従量料金は確かに35%程度安価となっています。
しかし、燃料費調整の部分でその差のかなりの部分を相殺してしまっており、
結果、合計額では7%の節約にとどまっているのです。

この辺りは、
切り替えユーザーが注目しがちな従量単価でメリットを見せつけ、
前面には見えにくい調整単価の部分で、まさに「調整」しているのでしょう。
しっかり契約書を読まないといけませんね。

両社の調整単価は平均で10円程度の差があり(大手が安い)、
結果、両社の実質的な従量単価は1~2円の差しか無く(新電力がギリギリ安価)、
上述の通り年間7%の差にとどまったわけです。

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6.結論

さて、以上から我が家では今回の切り替えは見送ることとしました。

理由は、夜間料金時間帯が1時間短いことによる、
冬の電気料金の高騰を懸念したからです。

今後、原発の再稼働が遅れて、
大手電力が更なる値上げに踏み切った時に、
また、検討してみたいと思います。

市場価格連動プランにも興味があります(^^;

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さてさて、こちらは切替ではなく、
多頭飼いに憧れたこともあります。
(倍どころか、4倍は大変だと聞きますが・・・・w)

しかし、我が家の柴犬様は、
ドッグランでも端っこでニコニコしているだけで、
遊びの誘いにも全く乗ろうとしません。

一緒に平和に散歩に行けるのは、
近所のH君のみ。

こちらの新契約も当面なさそうですw

では、今日はここまで!

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